株式会社の設立手順と費用2026|行政書士事務所で50件補助した経験から失敗しない流れを整理

株式会社の設立は、手順さえ押さえれば自分でも進められます。流れは「基本事項の決定→定款認証→資本金の払込→登記申請→設立後の手続き」の5ステップで、つまずく場所はだいたい決まっています。

現場で会社設立を補助した経験から言えるのは、全体の流れを先に知っておくだけで、差し戻しや費用のムダは大きく減るということです。なかでも費用を左右するのが定款で、紙か電子かで印紙代4万円の差が出ます。

この記事では、設立の全体像と費用の内訳、各ステップで初めての人が引っかかりやすいポイントを整理します。なお、登記の法的効果や個別の税務判断は、最終的に法務局・税理士・司法書士などの専門家にご確認ください。

この記事でわかること

  • 株式会社設立の全体5ステップと、各ステップでつまずきやすい場所
  • 設立費用の内訳と、紙の定款と電子定款で約4万円変わる仕組み
  • 定款の絶対的記載事項と、認証で差し戻されないための注意点
  • 資本金の払込タイミング・登記書類の不備という3大つまずきの回避法
  • 合同会社のほうが安く済むケースと、株式会社を選ぶ判断軸

公的情報源: 日本公証人連合会・法務局・国税庁の公開情報(2026年6月閲覧)

結論を先に書きます

株式会社の設立は、①基本事項の決定 ②定款の作成・認証 ③資本金の払込 ④登記申請 ⑤設立後の手続きという5ステップで進みます。準備が整っていれば、定款認証から登記完了まで1〜2週間が目安です。

費用は資本金や定款の形式で変わります。電子定款なら約18〜22万円、紙の定款だと印紙4万円が加わり約22〜24万円が目安です。「いくらで設立すべき」という断言はできませんが、コストを抑える鍵は電子定款にあります。

この記事の要点
  • 設立は①基本事項 ②定款認証 ③資本金払込 ④登記 ⑤設立後手続きの5ステップ
  • 費用目安は電子定款で約18〜22万円、紙だと印紙4万円が加わり約22〜24万円
  • つまずきやすいのは定款の記載漏れ・資本金の払込タイミング・登記書類の不備
  • 合同会社のほうが安いケースもあり、目的に合わせて選ぶのが現実的

目次

株式会社設立の全体の流れ(5ステップ)

まず全体像をつかんでください。各ステップを行き来せず順番に片づけると、手戻りがほとんど起きません。費用だけ先に把握したい方は会社設立費用の総まとめも参考になります。

  1. 基本事項の決定(商号・目的・資本金・役員など)
  2. 定款の作成・公証人の認証
  3. 資本金の払込
  4. 登記申請(法務局)
  5. 設立後の手続き(税務署・年金事務所・銀行)

各ステップの「やること」と「つまずきやすい点」を一覧にすると、次のとおりです。

ステップやることつまずきやすい点
1 基本事項商号・目的・資本金・役員などを決める事業目的の書き方・類似商号の確認
2 定款認証定款を作成し公証役場で認証を受ける絶対的記載事項の漏れ・電子定款の手続き
3 資本金払込発起人の口座へ資本金を払い込む払込のタイミングと通帳コピーの取り方
4 登記申請法務局へ設立登記を申請する申請書類の不備・登録免許税の計算
5 設立後手続き税務署・年金事務所・銀行へ届出提出期限の管理漏れ

合同会社の流れと比べたい場合は合同会社の設立手順もあわせて確認してください。

ステップ1:基本事項を決める

最初に決めるのは、商号(会社名)・事業目的・本店所在地・資本金・発起人や役員・事業年度などです。ここが後工程すべての土台になります。

つまずきやすいのは、次の3点です。

  • 事業目的:将来やる可能性のある事業も書いておくと、後の変更登記が不要になります。ただし広げすぎると金融機関の口座開設で不利になることもあるため、バランスが大切です。
  • 類似商号の確認:同一住所に同一商号がないか、法務局やオンラインで確認します。確認を飛ばすと、後から商号を変えるはめになりかねません。
  • 資本金:1円から設立可能ですが、登録免許税や信用面を考えると現実的な額を設定します。資本金の決め方は税務にも関わるため、迷う場合は税理士に相談してください。

本店住所をバーチャルオフィスにする場合はバーチャルオフィスの選び方を参考にしてください。

ステップ2:定款の作成と認証(ここが費用の分かれ目)

定款は会社の基本ルールです。株式会社は公証役場での認証が必要になります(合同会社は認証不要)。このステップが、設立費用の最大の分かれ目です。

  • 絶対的記載事項(商号・目的・本店所在地・出資額・発起人)に漏れがあると、認証されません。現場で補助した中でも、ここの記載漏れは差し戻し理由の最多でした。
  • 電子定款にすると収入印紙4万円が不要です。紙の定款だと印紙代4万円がかかるため、コストを抑えるなら電子定款が有利になります。ただし電子署名の環境がない場合は、行政書士・司法書士に依頼するか、設立支援サービスを使う方法があります。
  • 定款認証手数料は資本金により3万〜5万円です。

会社設立支援サービス(電子定款に対応)の比較は会社設立freeeとマネーフォワードの比較で整理しています。電子署名の環境を自前で用意しない場合は、こうしたサービスの活用が現実的でしょう。

ステップ3:資本金の払込

定款認証の後に、発起人の個人口座へ資本金を払い込みます。この順番がポイントです。

  • タイミングが重要:原則として定款作成日以降に払い込みます。順番を間違えると、登記でやり直しになることがあります。
  • 証明書類の準備:払込を証明するため、通帳の表紙・1ページ目・振込記帳ページのコピーを用意します。ネット銀行の場合は取引明細を印刷して代用します。

払込は「会社の口座」ではなく「発起人個人の口座」へ。設立登記前は会社名義の口座をまだ作れないため、ここを勘違いしやすい点として覚えておいてください。

ステップ4:登記申請

法務局へ設立登記を申請します。申請日が会社の設立日になるため、希望の設立日がある場合は逆算して準備します。

  • 登録免許税は資本金の0.7%で、最低15万円です(資本金が約2,143万円を超えると、0.7%が15万円を上回ります)。
  • 書類の不備に注意:申請書類(登記申請書・定款・払込証明書・印鑑届書など)に不備があると、補正・再提出になります。書類のセットは法務局の様式に正確に合わせることが大切です。
  • 専門家への依頼も選択肢:不安な場合は司法書士への依頼も検討してください。登記申請の代理は、司法書士の業務範囲です。

費用の総額や内訳をもう一段詳しく知りたい場合は、会社設立費用の総まとめで整理しています。

ステップ5:設立後の手続き

登記が完了したら、各所への届出が必要です。提出期限があるものが多いので、登記後すぐに着手してください。

  • 税務署:法人設立届出書、青色申告の承認申請書など
  • 都道府県・市区町村:法人設立届出書
  • 年金事務所:社会保険の加入手続き
  • 銀行:法人口座の開設

青色申告の承認申請には提出期限があり、出し遅れると初年度に青色のメリットを受けられないことがあります。詳しい手順は設立後にやることチェックリストにまとめています。

設立費用の内訳(電子定款と紙の定款の比較)

費用の中身を分解しておくと、どこを抑えられるかが見えてきます。株式会社の設立費用は、大きく分けて定款関連・登記関連・その他の3つです。

費目紙の定款電子定款
定款認証手数料3万〜5万円3万〜5万円
収入印紙代4万円0円
登録免許税15万円〜(資本金の0.7%)15万円〜(資本金の0.7%)
定款の謄本交付手数料など約2,000円約2,000円
概算合計約22〜24万円約18〜22万円

最大の差は収入印紙代4万円です。電子定款にすればこの印紙代がかからないため、同じ会社でも紙より安く設立できます。

電子定款の節約効果は、印紙代4万円から専門家報酬を引いた分。電子署名の環境を自分で持っていない場合は、行政書士・司法書士への依頼料や設立支援サービスの利用料がかかるため、トータルでいくら得かはケースごとに変わります。実際の金額は最新の手数料を確認のうえ、税理士・司法書士にご相談ください。

株式会社と合同会社、どちらにすべきか

費用だけを見れば、合同会社のほうが安く済みます。定款認証が不要で、登録免許税の最低額も低いためです。一方の株式会社は、信用面・資金調達面で有利とされます。

判断のポイントを整理すると、次のようになります。

  • 株式会社が向く:取引先や金融機関の信用を重視する/将来的な増資・上場や資金調達を見据えている
  • 合同会社が向く:設立コストを抑えたい/少人数・自己資金中心で運営する

どちらが適しているかは事業の方向性で変わります。費用差と信用面のどちらを優先するかで決まるため、合同会社と株式会社の違いの比較を読んで判断してください。なお、税務上の取り扱いや有利不利は個別事情で異なるため、迷う場合は専門家への相談が安全です。

よくある質問

株式会社の設立で、初めての人から多い質問を整理しました。

Q1:株式会社は自分一人でも設立できますか?

できます。発起人・役員が1名でも設立可能です。ただし書類の正確さが求められるため、不安なら専門家(司法書士・行政書士)や設立支援サービスの利用を検討してください。

Q2:設立費用をできるだけ抑える方法は?

電子定款にして収入印紙4万円を省くのが基本です。資本金や登録免許税は法定のため、節約の中心は印紙代と専門家報酬の有無になります。電子署名の環境がない場合は、設立支援サービスの利用も選択肢です。

Q3:資本金はいくらにすべきですか?

一概には言えません。1円から設立できますが、信用面・当面の運転資金・税務上の影響も関わります。金額の判断は税理士に相談するのが安全です。

Q4:設立までどれくらいかかりますか?

準備が整っていれば、定款認証から登記完了まで1〜2週間程度が目安です。書類不備があると伸びるため、早めの準備が肝心です。

Q5:登記は自分でやるべきか、専門家に頼むべきか?

費用を抑えたいなら自分で、確実性・手間の削減を重視するなら司法書士への依頼が向きます。登記申請の代理は、司法書士の業務範囲です。

まとめ

株式会社の設立は、5ステップの流れと、つまずきやすい場所を押さえれば自分でも進められます。最後に要点を整理します。

この記事のまとめ
  • 流れは「基本事項→定款認証→資本金払込→登記→設立後手続き」の5ステップ
  • 費用は電子定款で約18〜22万円、紙だと印紙4万円が加わり約22〜24万円
  • つまずきやすいのは定款の記載漏れ・払込タイミング・登記書類の不備
  • 合同会社のほうが安いケースもあるので、目的で選ぶ

費用を抑える鍵は電子定款にあり、信用面を取るなら株式会社、コストを取るなら合同会社という整理が出発点になります。法的効果や税務の個別判断は、法務局・税理士・司法書士などの専門家にご確認のうえ進めてください。

関連記事


免責事項

※本記事は、日本公証人連合会・法務局・国税庁などの公開情報(2026年6月閲覧)をもとにした一般的な情報の整理です。費用・制度は変動し、手続きの法的効果や税務上の取り扱いは個別事情により異なります。登記・税務・社会保険など個別の判断は、税理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士などの専門家にご確認ください。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

行政書士事務所で4年間、会社設立の補助スタッフをしていた Hasegawa です。定款の作成から公証人認証、法務局への登記申請まで、50件以上のお手伝いをしてきました。私自身は行政書士の資格は持っておらず、**「行政書士として」「法的効果を保証する立場として」などの主張は一切しません**。

退職後に自分でも合同会社を設立してみて分かったのは、「補助した側と依頼した側で見えている情報が全然違う」ということでした。操作画面で戸惑う箇所、公証人に何を持っていくか確認する場所、設立後の税務署届出の順番――補助したことがあってもいざ自分でやると「あれ?」となる場面が何度もありました。

当サイトでは、補助スタッフとして見てきた「手続きでつまずく典型パターン」と、自身の設立実体験を組み合わせて、合同会社・株式会社の設立手順を整理しています。**法的効果の判断(登記の有効性・定款の解釈等)については、各法務局・公証役場・税務署、または司法書士・行政書士・税理士など有資格者にご確認ください**。本サイトは「手続きの流れを整理する情報提供サイト」です。

目次