法人口座の開設に必要な書類|銀行の種類別に準備する順番

法人口座の開設に必要な書類

法人口座の開設に必要な書類は、窓口で申し込む銀行では登記事項証明書・印鑑証明書・本人確認書類・事業内容の資料が基本です。ネット銀行には登記簿の郵送が要らない銀行もあり、どちらでも事業内容を示す資料は求められると考えて準備しておくと止まりません。

この記事でわかること

  • 窓口型の銀行とネット銀行の必要書類の違い
  • 登記事項証明書・印鑑証明書の期限(6か月以内・3か月以内)
  • 事業内容の資料で受け付けてもらえない書類と、事業計画書に書くこと
  • 申込から開設までの日数の目安(各行の公式表記)
  • 設立直後に書類をそろえる順番

一次情報: 七十七銀行「法人口座開設のご案内」/ドコモSMTBネット銀行「事業内容確認資料について」(いずれも2026年10月閲覧)

登記簿を取りに行く前に申し込みたい方は、登記簿と定款の提出が要らない法人口座もあります。株式会社・合同会社・有限会社が対象です。

登記が終わって最初に急ぐのが、法人口座かもしれません。取引先から入金先を聞かれたり、家賃の引き落とし先を決めたりと、口座がないと進まない手続きが続くからです。

ところが必要書類は銀行ごとに違い、そろえ直しになると開設がさらに遅れます。ここでは窓口型の銀行とネット銀行の違いを公式の案内で並べ、設立直後にどの順番で準備すればよいかをまとめました。

目次

法人口座の開設に必要な書類の基本

どの銀行でも共通して確かめられるのは、会社の実在、手続きをする人、事業の内容の3つです。法人口座は犯罪収益移転防止法の取引時確認の対象で、会社の名称・本店所在地、取引の目的、事業の内容、実質的支配者、手続きをする人が確認されます(警察庁JAFIC「犯罪収益移転防止法の概要」)。

銀行が確かめる3つのことと、それを示す書類

  • 書類の名前は銀行で違っても、確かめる中身は共通
    • 会社が実在するか履歴事項全部証明書、印鑑証明書(ネット銀行では登記情報の照会で済む場合あり)
    • 手続きをする人は誰か代表者や担当者の運転免許証・マイナンバーカードなど
    • 何の事業をするのか会社案内、事業計画書、契約書、請求書、Webサイトなど

図:書類はこの3つを示すためのもの。どれが欠けても審査は止まる

窓口で申し込む銀行の例として、七十七銀行の案内(2026年10月閲覧)に載っている書類を並べると次のとおりです。

窓口で申し込む銀行の必要書類の例(七十七銀行)

書類条件注意すること
口座開設申込書銀行の様式窓口かWebで入手
履歴事項全部証明書発行後6カ月以内現在事項全部証明書は不可
法人の印鑑証明書発行後6カ月以内法務局で取得
許認可証など許認可・登録・届出が要る事業の場合写しでも可
代表者・来店者の本人確認書類運転免許証など来店する人の分も要る
事業内容がわかる書類会社案内、パンフレットなど設立直後は用意が遅れやすい

同じ銀行の案内では、申込書の提出から口座開設まで原則として2週間程度かかり、申し込んだその日に口座を開くことは原則できないとされています。書類の追加を求められると、そこからさらに2週間程度かかる場合があるそうです。

「履歴事項」と「現在事項」の違いに注意

登記事項証明書は1種類ではありません。七十七銀行は履歴事項全部証明書を求め、現在事項全部証明書は不可としています。

法務局で取るときに種類を間違えると、取り直しになります。銀行に出す分は「履歴事項全部証明書」と覚えておくと安全です。

ネット銀行で郵送が要らない書類

ネット銀行の中には、登記簿や印鑑証明書を郵送しなくても申し込める銀行があります。手続きをする人の本人確認をスマートフォンで済ませる方式です。

ネット銀行の申込方法の違い(各行の公式案内・2026年10月閲覧)

銀行書類の扱い開設までの目安
ドコモSMTBネット銀行(オンライン)登記簿謄本・印鑑証明書・代表者の本人確認書類の郵送は不要最短翌日
ドコモSMTBネット銀行(郵送)申込書と必要書類を郵送書類審査5営業日
GMOあおぞらネット銀行申込フォームの入力・本人確認・必要書類の提出最短即日(条件あり)
フィンサーバンク登記簿と定款の提出は不要申込は最短15分(開設の日数は非公表)

ドコモSMTBネット銀行は、2026年8月3日に住信SBIネット銀行から商号を変更した銀行です。GMOあおぞらネット銀行の最短即日は、代表者と取引責任者が同じ人で、マイナンバーカードの読み取りで本人確認をする場合に限られます。

郵送や担当者の届け出で書類が増える

ドコモSMTBネット銀行の郵送での申込では、代表者に加えて担当者を届け出る場合、担当者の本人確認書類と法人の印鑑登録証明書が必要です。印鑑登録証明書は「発行日より3ヵ月以内」の原本とされています。

窓口型の6か月以内と、ネット銀行の3か月以内のように、期限は銀行によって違います。複数の銀行に申し込むなら、期限の短いほうに合わせて取得日を決めてください。

登記簿が要らなくても、確認はされる

登記簿を出さなくてよい銀行でも、会社の名称と所在地の確認はなくなりません。ネット経由の法人の確認では、申告された名称・所在地を登記情報提供サービスの登記情報と照らし合わせる方法が法令で認められています。

入力した商号や本店所在地が登記の表記とずれていると、照合の段階で止まります。「株式会社」の前後や、丁目・番地・建物名まで登記どおりに書きましょう。

登記簿と定款を取りに行かずに、会社の情報を入力して申し込める法人口座です。申込は最短15分で、株式会社・合同会社・有限会社が対象。登記どおりの会社情報と本人確認書類があれば始められます。

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事業内容の資料は何を出せばいい?

設立直後の会社がいちばん迷うのが、事業内容の資料です。取引の実績がまだないぶん、何を出せば事業を説明できるかを先に知っておくと、追加の依頼で止まらずに済みます。

受け付けてもらえないことが多い資料

ドコモSMTBネット銀行の「事業内容確認資料について」(2026年10月閲覧)には、よくある受付不可の資料として次のものが挙がっています。

  • 定款
  • 法人設立届出書
  • 履歴事項全部証明書
  • 公共料金の請求書
  • オフィスの賃貸契約書
  • オフィス備品の請求書
  • 会社設立時の登記関係書類
  • 事業内容の記載がない契約書

どれも会社があることは示せても、何の事業をしているかは示せない書類です。設立の書類一式を出せば足りると考えていると、ここで止まってしまいます。

事業を始める前なら事業計画書を用意する

同じ案内では、事業を始める前の会社は、事業計画書か会社概要説明書で事業の中身を示すとされています。事業計画書に求められている項目は次のとおりです。

  1. 設立の目的や経緯
  2. 商品・サービスの内容と価格
  3. 商品・サービスを提供する流れ
  4. 売上の計画(業績の見通し)

概要しかわからないものや、作成中のものは受け付けないとされています。取引が始まっている会社なら、事業に関する契約書や請求書・発注書、運営中のECサイトでも大丈夫です。

事業内容を示す資料の選び方

会社の状況出しやすい資料気をつけたい点
事業を始める前事業計画書・会社概要説明書商品と価格、提供の流れまで書く
取引が始まっている事業に関する契約書、請求書・発注書契約日・相手方・押印や電子署名がわかるもの
ネットで販売している運営中のECサイトのURL作成中や更新が止まったサイトは不可
個人事業から法人成り個人事業のときの資料事業の中身が同じとわかること

申込から開設までの日数と、早く進めるコツ

開設までの日数は、窓口型で原則2週間程度、ネット銀行では最短翌日や最短即日をうたう銀行もあります。ただし、どの銀行でも追加の確認があれば日数は延びます。

申込の後に届く郵便も受け取れるようにしておく

ネット銀行では、カードが法人の住所あてに郵送されるのが一般的です。ドコモSMTBネット銀行もGMOあおぞらネット銀行も、カードを「転送不要の簡易書留」で法人住所あてに送るとしています。

GMOあおぞらネット銀行は、郵便物を受け取れない場合に口座の利用制限や解約となる場合があると案内しています。バーチャルオフィスを本店にしている会社は、書留を受け取れる契約かを先に確かめておきましょう。住所の選び方はバーチャルオフィス比較で整理しています。

銀行からの連絡にすぐ応える

審査の途中で、メールや電話で確認の連絡が来ることも珍しくありません。ドコモSMTBネット銀行の案内では、連絡が取れない場合に口座開設が見合わせになることがあるとされています。

申込後しばらくは、銀行からのメールが迷惑メールに振り分けられていないかも見ておきましょう。審査に落ちやすいケースは法人口座開設の選び方でも取り上げています。

設立直後に書類をそろえる順番

書類は、法務局で取るもの、手元にあるもの、自分で作るものに分けると、そろえる順番が決まります。いちばん時間がかかるのは、自分で作る事業内容の資料です。

法人口座の書類をそろえる順番

  • 登記が完了したら、時間のかかるものから手をつける
  • 1事業内容の資料を作る事業計画書か会社概要説明書。商品と価格、提供の流れ、売上の計画まで書く
  • 2申し込む銀行を決める窓口型か、ネット銀行か。複数申し込むなら期限の短い条件に合わせる
  • 3法務局で証明書を取る履歴事項全部証明書と印鑑証明書。要らない銀行なら省ける
  • 4本人確認書類を確かめる有効期限内で、今の住所が載っているもの
  • 5申し込み、郵便と連絡を受け取れるようにする本店あての簡易書留と、銀行からのメールや電話

証明書には期限がある。申し込む直前に取るほうが、取り直しになりにくい。

図:事業内容の資料づくりを最初に始めると、全体が早く進む

設立後のほかの手続きと並べて進めたい方は、会社設立後にやることチェックリストもあわせて見ておくと、証明書を取る回数をまとめやすいはずです。

登記簿の要らない口座から申し込みたい会社

  • 株式会社・合同会社で、登記が完了したばかり
  • 法務局へ行く時間を取りにくく、まず1つ口座を作りたい
  • 取引先への振込や入金の受け取りが、口座の主な使い道

窓口型の銀行も並べて考えたい会社

  • 融資の相談など、銀行との長い付き合いを最初から考えている
  • 家賃やリース料の口座振替、税金の支払いを1つの口座にまとめたい
  • 許認可が要る事業で、窓口で相談しながら進めたい

よくある質問

Q1:法人口座の開設に登記簿謄本はどの銀行でも要りますか?

銀行ごとに扱いが違うので、申し込む先の案内で確かめてください。窓口で申し込む銀行では履歴事項全部証明書を求めるのが一般的ですが、ネット銀行には登記簿の郵送や提出が要らない銀行もあります。その場合も、会社の名称と所在地は登記情報と照らし合わせて確かめられます。入力は登記どおりにしてください。

Q2:登記事項証明書は発行から何か月以内のものが必要ですか?

銀行によって違います。七十七銀行は履歴事項全部証明書と印鑑証明書を発行後6カ月以内としています。ドコモSMTBネット銀行で担当者を届け出る場合の印鑑登録証明書は、発行日から3ヵ月以内の原本です。

Q3:設立したばかりで取引がありません。事業内容の資料は何を出せばいいですか?

事業計画書か会社概要説明書を用意しましょう。ドコモSMTBネット銀行の案内では、設立の目的、商品・サービスの内容と価格、提供の流れ、売上の計画が書かれていることが求められています。定款や法人設立届出書は、受付不可の例です。

Q4:法人口座はどのくらいで開設できますか?

銀行と申込方法しだいです。七十七銀行は申込書の提出から原則2週間程度、ドコモSMTBネット銀行はオンライン申込で最短翌日、郵送申込では書類審査に5営業日としています。追加の確認があれば、その分だけ延びます。

Q5:バーチャルオフィスの住所でも法人口座は作れますか?

公式の案内で一律に断っている銀行は多くありません。ただしカードや書類が本店あてに転送不要の簡易書留で届く銀行があるため、その郵便を受け取れる契約かを確かめておきましょう。

Q6:複数の銀行に同時に申し込んでもいいですか?

申し込めます。最初の入金や支払いの期限が近い場合は、ネット銀行と窓口型の銀行を並行して進めるのも一つの方法です。証明書の期限が短いほうの銀行に合わせて取得日を決めてください。

まとめ

この記事のまとめ

  • 銀行が確かめるのは会社の実在・手続きをする人・事業の内容の3つ
  • 窓口型の例(七十七銀行)は履歴事項全部証明書と印鑑証明書が発行後6カ月以内。現在事項全部証明書は不可
  • ネット銀行には登記簿の郵送が要らない銀行もあるが、登記情報との照合は行われる
  • 定款・法人設立届出書・履歴事項全部証明書は、事業内容の資料としては受付不可の例に挙がっている
  • 準備は事業内容の資料づくりから。証明書は申し込む直前に取り、本店あての簡易書留を受け取れるようにする

法人口座は、書類がそろっていれば手続きそのものは難しくありません。時間がかかるのは事業内容の資料なので、登記が終わったらまずそこから手をつけてみてください。

株式会社・合同会社・有限会社なら、登記簿や定款を用意せずにスマホかPCから申し込めます。申込は最短15分で、途中で中断しても再開できます。まずは対象条件と料金プランを公式で確かめてみてください。

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免責事項

※本記事は2026年10月時点の公開情報(各銀行の公式案内、警察庁の公表資料)をもとにした整理です。必要書類・期限・開設までの日数は銀行や申込方法、会社の状況によって異なり、変更されることがあります。口座開設の可否は各銀行の審査によります。最新の内容は各銀行の公式サイトでご確認ください。

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この記事を書いた人

行政書士事務所で4年間、会社設立の書類づくりや申請の補助をしていたHasegawaです。定款の作成から公証人の認証、法務局への登記申請まで、50件以上の手続きに関わってきました。

退職してから、自分でも合同会社を作ってみました。驚いたのは、手伝ってきた側なのに、いざ自分の名前で申請すると画面のどこを押せばいいのか手が止まったことです。公証役場に何を持っていくのか直前まで確認し直し、税務署への届出も順番を一つ勘違いしていました。

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