ファクタリングを比較するなら、同じ売掛金で2〜3社から見積もりを取り、手数料率・諸費用・入金日・買戻しの有無を同じ表に並べます。一括見積もりは入力が1回で済む反面、連絡が複数社から来るので、急ぎ具合で使い分けると失敗しません。
この記事でわかること
- 一括見積もりと、1社ずつ取る相見積もりの違いと使い分け
- 2社間と3社間のどちらで見積もるかの決め方
- 見積書で並べて比べる6つの項目
- 金融庁が示す、偽装ファクタリングの見分け方
- 設立から間もない会社でも使えるかどうか
一次情報: 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」(2026年10月閲覧)
まず1社目の見積もりを取って相場の感覚をつかみたい方は、申込から見積もりまでオンラインで進められる会社もあります。法人で、取引先(法人)への売掛金がある方が対象です。
請求書は出したのに、入金は2か月先。その前に仕入れや給与の支払いが来てしまう、という場面は設立から数年の会社ほど起きがちです。
ファクタリングはこうしたときの資金調達の手段ですが、手数料の決まり方が見えにくく、どこに頼むかで手元に残る金額が大きく変わります。ここでは、複数社を比べて選ぶまでの手順を、公的な注意喚起もふまえて順に整理しました。
ファクタリングの一括見積もりとは
ファクタリングの一括見積もりとは、売掛金の情報を1回入力するだけで、複数のファクタリング会社から見積もりや連絡を受けられる仕組みです。1社ずつ申し込む手間が省けるため、比較の入り口として使われています。
ファクタリング自体は、まだ入金されていない売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に買い取ってもらい、期日より前に現金にする取引です。借入れではなく債権の売買なので、手数料を差し引いた額が入金されます。
一括見積もりと個別の相見積もりの違い
比べ方は大きく2通りで、入力の手間と連絡の来方が違います。
比較の取り方ごとの違い
| 比べ方 | 入力の手間 | 連絡の来方 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 一括見積もり | 1回で済む | 複数社から順に連絡が来る | どこに頼むか全く決まっていない |
| 個別の相見積もり | 社数ぶん入力する | 自分が申し込んだ会社だけ | 候補を2〜3社に絞れている |
| 1社だけに申し込む | 1回 | その1社だけ | 相場を知らないまま決めてしまう(避けたい) |
どちらを使う場合も、最低2社、できれば3社の見積もりを並べるのが基本です。1社だけだと、提示された手数料率が高いのか安いのか判断できません。
2社間と3社間、どちらで見積もるか
見積もりを取る前に、2社間と3社間のどちらで進めるかを決めておくと比較がぶれません。取引先に知らせてよいかどうかで、ほぼ決まります。
2社間と3社間の選び方
- 取引先に債権の譲渡を知らせてよいか
- 1知らせてよい・急ぎではない3社間を選ぶ。取引先の承諾が要るぶん日数はかかるが、手数料は抑えやすい
- 2知らせたくない・急ぎ2社間を選ぶ。取引先の承諾が要らないので早いが、手数料は高くなりやすい
- 3どちらか迷う同じ売掛金で両方の見積もりを取り、差額と日数を見比べて決める
2社間は、入金された売掛金を自社がファクタリング会社へ送る手間が残る。
図:取引先に知らせてよいなら3社間、知らせたくないなら2社間
2社間と3社間の違い
| 項目 | 2社間 | 3社間 |
|---|---|---|
| 契約する相手 | 自社とファクタリング会社 | 自社・ファクタリング会社・取引先 |
| 取引先への通知 | 原則なし | 通知と承諾が必要 |
| 入金までの早さ | 早い | 承諾を得るぶん日数がかかる |
| 手数料の傾向 | 高くなりやすい | 抑えやすい |
| 期日の入金の流れ | 取引先→自社→ファクタリング会社 | 取引先→ファクタリング会社 |
手数料の水準に公的な統計はありません。民間の比較サイトでは、2社間は1〜2割前後、3社間は数%〜1割前後と説明されることが多く、実際の率は取引先の信用や金額で変わります。
なお、取引先との契約に「債権を譲渡してはいけない」という特約があっても、2020年4月に施行された改正民法(第466条)で、譲渡そのものの効力は妨げられないと定められました。ただし特約違反を理由に取引先との関係がこじれることはあるので、気になる場合は契約書を見せたうえで見積もり時に相談してください。
見積書で並べて比べる6つの項目
見積もりが届いたら、手数料率だけで決めずに、次の6つを同じ表に書き写して比べます。手元に入る金額で比べるのがいちばん確実です。
見積書の比較チェック表
| 項目 | 見るところ | 見落としやすい例 |
|---|---|---|
| 手数料率 | 何%か、幅で出ていないか | 「1%〜」の下限だけを見てしまう |
| 諸費用 | 事務手数料・登記費用・印紙代・出張費 | 手数料は安いが諸費用が別に乗る |
| 入金予定日 | 契約から何日で入るか | 「最短」が自社に当てはまらない |
| 手取り額 | 売掛金−手数料−諸費用 | 率だけ見て手取りを計算していない |
| 債権譲渡登記 | 登記が必要か、費用はどちらが持つか | 登記の費用が見積もりに入っていない |
| 償還請求権 | 取引先が払えなかったとき自社が負担するか | 「なし」と思い込み、契約書で「あり」 |
たとえば売掛金100万円で、A社が手数料8%・諸費用なし、B社が手数料6%・諸費用3万円なら、手取りはA社92万円、B社91万円です。率の低いほうが得とは限らない、という点がこの表で見えてきます。
手取り額で比べる例(売掛金100万円)
- 手数料
- 8%(8万円)
- 諸費用
- なし
- 手取り
- 92万円
- 手数料
- 6%(6万円)
- 諸費用
- 3万円
- 手取り
- 91万円
図:手数料率の低いB社のほうが、手取りは1万円少ない
「償還請求権なし」かを契約書で確かめる
償還請求権とは、取引先が倒産などで払えなかったとき、ファクタリング会社が自社に代金の返還を求められる権利です。事業者向けのファクタリングでは「償還請求権なし(ノンリコース)」が一般的とされています。
見積もりの段階で「なし」と言われても、契約書の条文で確かめてください。返還を求められる契約は、次に見る金融庁の注意喚起とも関わる点です。
偽装ファクタリングを見分ける
比較するときは、安さより先に「その会社と契約して大丈夫か」を確かめてください。金融庁は「ファクタリングの利用に関する注意喚起」で、ファクタリングを装った貸付けへの注意を呼びかけています。
金融庁の注意喚起(2026年10月閲覧)で挙げられている主なポイントは次のとおりです。
金融庁の注意喚起で示されている危険なサイン
- 受け取る買取代金が、債権額に比べて著しく低い
- 契約書上は債権の売買でも、自社が債権を買い戻す決まりになっている
- 取引先からの入金ではなく、自社の資金でファクタリング会社へ支払う必要がある
- 個人が勤め先への給与を売る、いわゆる給与ファクタリング(貸金業に当たると説明されている)
買戻しや自己資金での支払いが求められる契約は、貸金業に当たるおそれがあると金融庁は説明しています。高い手数料を払い続けると資金繰りがかえって悪くなり、多重債務に陥るおそれがある点も指摘されています。
見積もりの段階で聞いておくこと
怪しい業者かどうかは、問い合わせへの答え方にあらわれます。次の3点は、見積もりを受け取る時点で確かめておきましょう。
- 会社の所在地と代表者名、固定の連絡先が公開されているか
- 見積書と契約書を、契約前に書面(データ)で受け取れるか
- 買戻しや償還請求の条項がないか、ある場合はどの場面で使われるか
答えをはぐらかす、契約を急がせる、といった対応があれば、その会社は候補から外して構いません。
設立から間もない会社でも使えるか
ファクタリングは、自社の業歴よりも取引先の支払い能力が重視される取引です。そのため、設立から日が浅く融資の審査が通りにくい会社でも、見積もりを受けられる場合があります。
ただし、どの会社でも対象になるわけではありません。多くのファクタリング会社が、次のような条件を設けています。
見積もりを取りやすい会社
- 取引先が法人で、請求書や契約書で売掛金を示せる
- 入金予定日がはっきりしていて、遅れたことがない
- 同じ取引先と継続して取引している
- 決算書や通帳の入出金履歴を出せる
見積もりが難しくなりやすい会社
- 取引先が個人(一般消費者)の売上が中心
- 請求書がまだ発行されていない、または入金予定日が決まっていない
- 過去に同じ売掛金で別の会社と契約している
時間に少し余裕があるなら、ファクタリングより先に融資を検討する価値もあります。日本政策金融公庫の創業融資の受け方は会社設立時の創業融資の受け方で取り上げました。融資は返済が必要な一方、手数料の負担はファクタリングより軽くなることが一般的です。
取引先が法人で、請求書のある売掛金があれば、申込から見積もりまでオンラインで進められます。比較の1社目として見積もりを取っておくと、ほかの会社の提示額が高いか安いかを判断しやすくなります。
Easy factorで売掛金の見積もりを無料で申し込む(PR)詳細はリンク先をご確認ください
申込から入金までの流れ
見積もりを比べて1社に決めたら、次は契約と入金です。オンライン完結型でも、基本の順番は変わりません。
見積もりから入金までの順番
- 売掛金の請求書と、取引先との契約書を手元にそろえる
- 12〜3社に見積もりを依頼一括見積もりか、候補を絞って1社ずつ申し込む
- 2見積書を同じ表に並べる手数料率・諸費用・入金日・手取り額・登記・償還請求権
- 3契約書の条文を確かめる買戻しや自己資金での支払いの条項がないか
- 4契約・入金2社間なら、期日に取引先から入った代金をファクタリング会社へ送る
契約を急がせる会社や、書面を出さない会社は候補から外す。
図:比べる前に書類をそろえ、契約前に条文を読む
準備しておく書類
求められる書類は会社ごとに違いますが、次のものを用意しておくと見積もりが早く進みます。
- 売掛金の請求書(取引先名・金額・支払期日がわかるもの)
- 取引先との基本契約書や発注書
- 会社の通帳の入出金履歴(取引先からの入金がわかる数か月分)
- 代表者の本人確認書類
- 登記事項証明書や決算書(求められた場合)
法人口座での入出金が履歴として残っていると、取引の実在を示しやすくなります。口座をまだ分けていない場合は、法人口座開設の選び方も参考にしてください。
よくある質問
Q1:ファクタリングの一括見積もりは無料ですか?
見積もりの依頼自体は無料としているサービスが一般的です。費用がかかるのは契約して売掛金を買い取ってもらうときで、手数料と諸費用が差し引かれます。
Q2:一括見積もりを使うと、何社から連絡が来ますか?
条件に合う会社の数によって変わります。連絡を受けたくない時間帯や連絡手段がある場合は、入力の時点で伝えておくとやり取りが楽になります。
Q3:ファクタリングを使うと取引先に知られますか?
2社間なら、原則として取引先に知らせずに進められます。3社間は取引先の承諾が必要なので知られます。そのぶん手数料は3社間のほうが抑えやすい傾向です。
Q4:個人事業主でも見積もりを取れますか?
個人事業主を対象にしている会社もあります。ただし法人だけを対象にしている会社も多いため、申込前に対象を確かめてください。取引先が一般消費者の売上は、多くの会社で対象外です。
Q5:手数料が安い会社を選べば間違いありませんか?
手数料率だけでは決められません。諸費用を引いた手取り額、入金日、償還請求権の有無まで並べて比べてください。率が低くても諸費用が別に乗り、手取りが少なくなる例があります。
Q6:ファクタリングは借入れになりますか?
売掛金を売る取引なので、借入れとは扱いが異なります。ただし買戻しや自己資金での支払いが求められる契約は、金融庁が貸金業に当たるおそれがあると説明しています。会計上の扱いは顧問の税理士に確認しておくと安心です。
まとめ
この記事のまとめ
- ファクタリングは、同じ売掛金で2〜3社の見積もりを並べて比べる
- 候補が決まっていなければ一括見積もり、絞れていれば個別の相見積もり
- 取引先に知らせてよいなら3社間、知らせたくないなら2社間
- 見積書は手数料率だけでなく、諸費用・入金日・手取り額・登記・償還請求権を並べる
- 買戻しや自己資金での支払いを求める契約は、金融庁が注意を呼びかけている
入金を待つあいだの支払いは、早めに手を打つほど選択肢が残ります。請求書と通帳の履歴をそろえたら、まず1社目の見積もりを取って、手取り額の目安をつかんでおきましょう。
法人で、取引先(法人)への売掛金がある方が対象です。見積もりの申込はオンラインで完結し、手数料と手取り額を確かめてから契約するかを決められます。
Easy factorで手取り額の見積もりを確かめる(公式)(PR)詳細はリンク先をご確認ください



免責事項
※本記事は2026年10月時点の公開情報(金融庁の公表資料、民法の条文、各社の公開情報)をもとにした整理です。手数料・入金までの日数・審査の基準・対象となる事業者は会社や時期によって異なり、変更されることがあります。契約の前に各社の公式サイトと契約書でご確認ください。会計・税務上の扱いは税理士など専門家へご相談ください。

