合同会社の設立手順|行政書士事務所で50件補助した経験と自分で設立した実体験から整理

合同会社の設立は、株式会社より費用が6万円程度から始められて、定款認証も不要という手軽さが魅力です。ただ実際に手続きを進めると「資本金の払込はいつ?」「印鑑届書ってオンラインだと出さなくていいの?」と、細かい疑問が次々と出てきます。

本記事では、行政書士事務所で4年・50件超の法人設立を補助した実務経験と、自分でfreee会社設立を使って合同会社を立ち上げた実体験をもとに、つまずきやすい場所を実例ベースで整理します。

特に「定款を作る前に振り込むと補正になる」といった順序の落とし穴は、知っているだけでやり直しを防げます。

この記事でわかること

  • 合同会社設立の全6ステップと、各ステップの所要日数
  • 登録免許税6万円・電子定款で印紙代4万円が不要になる費用の内訳
  • 補助50件で見た「補正で多い書類不備パターン」と回避法
  • 自分でfreee会社設立を使って設立した操作感の所感
  • 申請後の「待ち期間7〜10日」にやっておくと後が楽な準備

公的情報源: 法務省「合同会社の設立手続について」(参照)/法務局「オンライン申請」(参照

書類作成を順番どおりに案内してほしい方へ。電子定款対応で印紙代4万円が不要になる方法もあります。

結論を先に書きます

合同会社の設立は、順序さえ守れば独力で十分に進められます。費用は電子定款を使えば登録免許税6万円+実費で約7万円から、株式会社より約12万円安く済みます。

最大のつまずきは「定款作成 → 払込 → 申請」という順番の取り違えです。先に資本金を振り込むと払込証明書の日付不備で補正になります。この一点を押さえるだけで、やり直しの大半は防げます。

この記事の要点

  • 合同会社設立は「決める→定款→払込→書類→申請→届出」の6ステップで整理できる
  • 電子定款なら印紙代4万円が不要で、合計約7万円から設立できる
  • 補正で多いのは払込証明書の日付・印鑑証明の期限切れ・事業目的の表現の3つ
  • 申請後7〜10日のブランクは、法人口座と税務署届出の準備期間にあてると後が楽

目次

合同会社の設立手順は6ステップで整理できる

合同会社の設立は、大きく6段階で進みます。手順の全体像を先に押さえると、いま自分がどこにいるかを見失わずに済みます。

法務省の案内でも、設立は社員(出資者)が定款を作成・署名し、登記申請を行うことで成立すると示されています(法務省:合同会社の設立手続について)。

合同会社設立の6ステップ

  • いま自分がどこにいるかを見失わないために
  • 1基本事項を決める商号・本店所在地・事業目的・資本金・社員構成(所要1〜3日)
  • 2定款を作成する合同会社は公証人の認証が不要(所要1〜2日)
  • 3出資金を払い込む振込日は定款作成日より後。先に振り込むと払込証明書の日付不備になる(所要1日)
  • 4登記書類を準備する申請書・定款・払込証明書・印鑑証明書・印鑑届書など(所要2〜3日)
  • 5法務局へ申請する窓口・郵送・オンラインの3通り。登記完了まで7〜10日
  • 6設立後の各種届出税務署・都道府県税事務所・市区町村役所・年金事務所へ(所要3〜5日)

順序を守れば、やり直しの大半は防げます。

図:定款作成→払込→登記申請の順序を守れば補正の大半は防げる。

  1. 基本事項を決める(所要1〜3日)
  2. 定款を作成する(所要1〜2日)
  3. 出資金を払い込む(所要1日)
  4. 登記書類を準備する(所要2〜3日)
  5. 法務局へ申請する(登記完了まで7〜10日)
  6. 設立後の各種届出(所要3〜5日)

Step1 基本事項を決める(所要1〜3日)

最初に決めるのは商号(会社名)・本店所在地・事業目的・資本金・社員構成です。商号は同一住所に同一商号がないかを確認します(国税庁の法人番号公表サイトで簡易チェック可)。

ここで注意したいのが事業目的の数です。補助した50件のうち約3割が「将来やる可能性のある事業」まで盛り込みすぎて目的が10個以上に膨らみ、銀行口座開設時に「実態のある事業はどれですか」と尋ねられるケースがありました。

事業目的は3〜5個に絞り、必要になったら追加変更登記する方が現実的です。

Step2 定款を作成する(所要1〜2日)

定款は会社の基本ルールブックです。合同会社は株式会社と違い、公証人の認証を受ける必要がありません(法務省・前掲)。これが費用差5万円のうちの大きな要因です。

定款には絶対的記載事項(商号・本店所在地・事業目的・社員氏名住所・出資の目的と価額・社員の責任)を必ず盛り込みます。テンプレートは法務局がサンプルを公開しています。

Step3 出資金を払い込む(所要1日)

定款を作成したら、代表社員の個人口座に資本金を振り込みます。ここでつまずく人が一番多いのですが、振込日は定款作成日より後でなければなりません。

順番を間違えると、登記時に「払込証明書の日付不備」で補正対象になります。払込証明書には、通帳の表紙・見開き・該当振込ページのコピーを添付します。

Step4 登記書類を準備する(所要2〜3日)

合同会社設立登記申請書・定款・払込証明書・代表社員の印鑑証明書・印鑑届書・登録免許税の収入印紙を貼った台紙を揃えます。

電子定款と紙定款の費用差

電子定款
収入印紙
0円
登録免許税
6万円
合計の目安
実費込みで約7万円から
紙の定款
収入印紙
4万円
登録免許税
6万円
合計の目安
約11万円

図:電子定款にすると印紙代4万円が不要になり、合計約7万円で設立できる。

2021年2月15日以降、オンライン申請時の印鑑届書は任意化されました(法務局:合同会社の設立の登記をしたい方)。ただし会社代表者印は作っておくほうが、後の手続きで楽になります。

Step5 法務局へ申請する(登記完了まで7〜10日)

申請方法は窓口・郵送・オンラインの3通り。会社設立日は「申請書を法務局が受理した日」になります。2026年2月2日からは、休日でも会社設立日に指定できる特例が施行されました(法務局案内)。

申請から登記完了までは通常7〜10日です。この期間は手続きの進捗が見えず不安になりますが、補正電話が来ない限りは順調と判断して問題ありません。

Step6 設立後の各種届出(所要3〜5日)

登記完了後、税務署・都道府県税事務所・市区町村役所・年金事務所への届出が必要です(後述)。設立はゴールではなく、ここから運営の準備が始まります

補助50件で見た「補正で多い書類不備パターン」

補助した50件のうち、補正連絡が入ったのは8件でした。どこで引っかかりやすいかを、カテゴリ別に整理します(個別案件の特定を避けるための集計です)。

不備カテゴリ件数(50件中)補正内容
払込証明書の日付不整合3件定款作成日より前の振込で再振込
印鑑証明書の有効期限切れ2件発行から3か月以内のものを取り直し
事業目的の表現不適切1件「等」「その他」が多すぎて再作成
資本金額と払込額の不一致1件1円単位のズレで再振込・再証明
代表社員住所の表記揺れ1件印鑑証明書と申請書の番地表記を統一

特に多いのが払込証明書の日付です。「定款を作る → お金を振り込む → 登記申請」の順序を守れば防げます。

freeeのようなツールは画面の指示どおりに進めると順序通りに案内されるため、こうした順番の取り違えが起きにくい点が実務上は助かります。

自分でfreee会社設立を使った操作感

自分で合同会社を立ち上げる際に選んだのは、freee会社設立でした。理由は「電子定款で4万円の印紙代が浮く」「freee会計と連携できる」の2点です。

入力フォームは「商号 → 本店所在地 → 事業目的 → 資本金 → 社員情報」の順に進み、所要時間は約40分でした。事業目的のサジェスト機能があり、似た業種で過去に登記された目的文がそのまま使えたのは助かりました(ただし、自社に不要な目的は削るチェックが必須)。

電子定款の認証費用は、会計サービスと年間契約すると0円になります(公式案内より)。このとき、設立費用は登録免許税6万円のみで済みました。

注意点として、freeeはあくまで書類作成サポートで、最終的な登記申請は自分で法務局に提出する必要があります(一部代行プランあり)。「書類作りの手間を減らすツール」と位置づけるのが、過不足のない使い方です。

電子定款に対応していれば、紙の定款で必要な印紙代4万円が不要になります。費用と無料条件をまず確認してみるのが近道です。

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設立費用の内訳(合同会社・電子定款利用時)

合同会社の設立費用は、電子定款を使うかどうかで大きく変わります。電子定款利用時の内訳は次のとおりです。

項目金額備考
登録免許税60,000円資本金×0.7%が6万円を超える場合はその金額
定款認証手数料0円合同会社は不要
定款印紙代0円電子定款の場合(紙は4万円)
代表社員印鑑証明書約300円×通数市区町村役所で取得
会社実印作成5,000〜10,000円ネット注文で安価
払込手数料数百円振込手数料
合計目安約70,000円電子定款利用時

紙の定款で進めると印紙代4万円が加算され、約11万円になります(freee:会社設立に必要な費用参考)。電子定款にするだけで4万円が浮くため、費用を抑えたいなら電子定款一択といえます。

登記完了後7〜10日のブランクに準備しておくこと

申請後、登記完了まで7〜10日空きます。この間にやっておくと後の手続きがスムーズになる準備を、3つに分けて整理します。

  1. 法人口座開設の事前準備(申込先候補の比較)
  2. 税務署・年金事務所への届出書類の下書き
  3. 会計ソフトの選定(設立後すぐ仕訳を始める準備)

法人口座開設の事前準備

法人口座開設は、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)が出てから動きますが、申し込み先候補(ネット銀行・メガバンク)を比較しておきます。

補助した中では、設立直後の合同会社はネット銀行のほうが審査が早い傾向でした(個別の審査基準は各銀行にご確認ください)。

税務署・年金事務所への届出書類の下書き

法人設立届出書(国税庁様式)・青色申告承認申請書・源泉所得税の納期特例の承認に関する申請書・健康保険厚生年金保険新規適用届などを、事前に下書きしておきます(国税庁:内国普通法人等の設立の届出)。

会計ソフトの選定

freee会計・マネーフォワード クラウド会計・弥生会計のいずれかを選び、設立後すぐ仕訳を始められる準備をしておきます。最初に決めておくと、初年度の経理がぐっと楽になります。

設立後にやる5つの届出

登記が完了したら、期限のある届出が控えています。提出先と期限を一覧で押さえておきましょう。

提出先書類期限
税務署法人設立届出書設立2か月以内
税務署青色申告承認申請書設立3か月以内または事業年度終了日のいずれか早い日
都道府県税事務所法人設立届出書各自治体の定める期間内(おおむね1〜2か月以内)
市区町村役所法人設立届出書各自治体の定める期間内
年金事務所健康保険厚生年金保険新規適用届設立5日以内(社員1名でも法人は強制適用)

社会保険は法人の場合、代表社員1名のみでも加入義務があります(日本年金機構:適用事業所と被保険者)。青色申告承認申請書は期限を過ぎると初年度に青色申告ができないため、設立後すぐの提出をおすすめします。

よくある質問

合同会社設立で実務上よく寄せられる質問を、6問に整理しました。

Q1:合同会社設立は自分一人で全部できますか?

可能です。実際に自分でもfreee会社設立を使って一人で進めました。ただ補正リスクがあるので、書類作成サポートツールを使うのが安心です。完全に自力で行う場合は、法務局の窓口相談(無料)を併用すると手堅く進められます。

Q2:資本金はいくらにすべきですか?

1円から設立可能ですが、一般的な傾向として、設立後の運転資金(初期費用+3〜6か月の固定費)を目安にする方が多いです。資本金1,000万円未満の場合、設立1期目・2期目の消費税が一定条件で免除される傾向があります。個別判断は税理士にご相談ください

Q3:事業目的に「将来やるかも」のものを入れていいですか?

入れること自体は可能ですが、銀行口座開設時に「実態のある事業はどれか」と尋ねられる傾向があります。補助50件の経験では、3〜5個に絞り、必要になった時点で目的変更登記(数万円)する方が現実的です。

Q4:代表社員の印鑑証明書は何通必要ですか?

登記申請用に1通、その後の法人口座開設・税務署届出で各1通ずつ必要になる傾向があるので、3〜4通取っておくと安心です。なお、印鑑証明書は発行から3か月以内のものを使用します。

Q5:申請から登記完了まで何日かかりますか?

通常7〜10日です。法務局の繁忙期(3月・年度末)は2週間程度かかる傾向もあります。申請受理日が会社設立日になるので、設立日にこだわる場合は逆算して申請します。

Q6:補正の連絡が来たらどうすればよいですか?

法務局から電話または郵送で連絡が来ます。指定された書類を補正して再提出すれば、設立日は変わりません(最初の申請受理日が維持されます)。慌てず対応すれば問題ありません。

まとめ|合同会社設立は順序を守れば独力で十分可能

合同会社の設立は、順序を守れば独力で十分に進められます。最後に要点を整理します。

この記事のまとめ

  • 合同会社設立は「決める→定款→払込→書類→申請→待ち→届出」の6ステップ
  • 登録免許税6万円・電子定款で印紙代4万円不要、合計約7万円から設立できる
  • 補正の多くは「払込証明書の日付」「印鑑証明書の有効期限」「事業目的の表現」の3つ
  • 申請後の7〜10日は、法人口座・税務署届出書の準備期間にあてる
  • freeeなどのツールを使うと順序通りに案内され、補正リスクが減る

設立で迷いやすいのは「順番」と「費用」です。定款を作ってから払い込む順序を守り、電子定款で印紙代4万円を抑える——この2点を押さえれば、つまずきの大半は回避できます。

書類作成を順番どおりに進めたい、印紙代4万円を抑えたいという方は、まず費用と無料条件を確認するところから始めるのが近道です。

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参考情報源

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免責事項

※本記事は法務省・法務局・国税庁等の公開情報と、設立補助・自身の設立経験をもとにした整理です。登記の有効性・税務上の取り扱いは個別の事情で異なります。個別の判断は税理士・司法書士・行政書士等の専門家へご相談ください。

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この記事を書いた人

行政書士事務所で4年間、会社設立の書類づくりや申請の補助をしていたHasegawaです。定款の作成から公証人の認証、法務局への登記申請まで、50件以上の手続きに関わってきました。

退職してから、自分でも合同会社を作ってみました。驚いたのは、手伝ってきた側なのに、いざ自分の名前で申請すると画面のどこを押せばいいのか手が止まったことです。公証役場に何を持っていくのか直前まで確認し直し、税務署への届出も順番を一つ勘違いしていました。

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